活動レポート

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活動レポート 2題

2016年5月24日(火曜日)

千葉徳洲苑におけるAAT(動物介在療法)

わたくしたちアニマル&セラピー・グレースでは、去年から動物介在療法=Animal Assisted Therapy(AAT)を開始しました。
これは、触れ合うことによって得る様々な効果でQOL(生活の質)を高めるための動物介在活動=Animal Assisted Activity(AAA)と異なり、人間の医療現場で治療を受ける人に合わせた目的を設定し、適切な犬とハンドラーを選択して行なう補助療法です。

何年も前から温めていた企画でしたが、どの病院も忙しく、人手が割けないという理由でなかなか実現しませんでしたが、昨年、千葉徳洲苑の看護師長・近藤さんが興味を示し率先して取り入れてくださいました。

2015年10月、79歳の半身麻痺の女性が対象に選ばれました。
この方は杖で転んだ経験から、リハビリを続けることに少し臆病になっていました。
ペアを組むセラピー・ドッグはミニチュアダックスフンドのユニコ(プロフィールはコチラ)に決定しました。
千葉徳洲苑で定期的に行っているAAAで、対象者さまが特にお気に入りの犬種だったこと、他人が投げたボールの持来ができること、ハンドラーが看護婦の経験があることなどが選出の主な理由です。

人間側は「対象者さま、理学療法士の室井先生、近藤看護師長」、犬側は「ハンドラーでもあり飼い主でもある日野と愛犬ユニコ、ドッグトレーナー切替」の5人と1匹のチームが出来ました。

主なプログラムとしては、対象者さま主体で
 *犬の服の着脱・ブラシをかける
 *ミルクを容器に入れる・飲ませる
 *「待て」をさせて、できたらご褒美をあげる
 *ジャンプ用のバーを支えて号令をかける
 *ボール投げ、など

ユニコ側としては
 *歩行訓練の側歩
 *投げられたボールを拾ってハンドラーの元へもっていく
 *対象者さまとコミュニケーションをとる
 *最後にエレベータまでお見送り、など

活動回数は諸々の事情から月に2回と決め、10月から5月までに12回実施。
初めのころは体調不良や発熱などで延期のこともありましたが、回を重ねるにつれてどんどんやる気が増し、多少疲れていてもユニコに会いたいから頑張ると言ってくださるほど気力が出てきました。
活動中は満面の笑みでユニコとの時間を楽しみ、ユニコが大好きなボール投げを少しでも遠くにとばそうと立ち上がって投球してくださった時は感動しました。

活動の数日前から楽しみに待っていて、その様子は遠足を指折り数えて待つこどもみたいでしたと聞き、やってよかったと改めて思いました。
施設にいると毎日が単調で気持ちを上げることもだんだん少なくなってしまうのだそうです。そんな中、楽しみにできることがあるということが素晴らしいとスタッフの方たちも嬉しそうです。

一方私たち犬側にも毎回課題が出て、その都度ユニコにトレーニングをし、課題をクリアして次に臨むという飼い主さんの努力は素晴らしいものでした。
その甲斐あって対象者さまとユニコは私たちが仲立ちしなくてもコミュニケーションがとれて良い雰囲気になってきました。
半年のプログラムが終了し、名残惜しい気持ちでいっぱいですが、またすぐAAAでご一緒することができます。
やる気になってくださったリハビリを継続してくださることを願い、一区切りつけました。

次回は別の対象者さまと活動を開始します。今度の方もダックスを飼っていらしたので、日野&ユニコペアが担当することになりました。
新しいチームではどんな活動ができるか、今から楽しみです。

千葉徳洲苑におけるAAA(動物介在活動)時のストレスチェック

「犬に触ると血圧が安定するんですよ♪」(切替)
「計ればわかるかしら」(近藤師長)
「ぜひやってみてください」(切替)
こんな会話から始まりました。

「昔はストレスチェックを血液検査で行ないましたが、今は唾液でできるそうです」と言った私の言葉を聞いた近藤師長は実行の人です。
すぐに調べてニプロさんにお話を伺う場を設けてくださいました。ニプロさんにもお世話になりました。(ニプロ 乾式臨床化学分析装置 唾液アミラーゼモニター

J-HANBSの加藤理事長に動物用のものがないか相談したのですが、無いようでしたので、人間のものを犬にも使ってみました。
正確なデーターは出ないかもしれませんが、傾向だけでも知りたかったのです。

近藤師長は入居者の血圧とストレスチェックを、私はハンドラー(犬の飼い主)とセラピードッグ達のストレスチェックを、それぞれふれあい活動開始前と終了後にニプロの機械で測定してみました。
近藤さんは終了後にフェイススケールも行なっています。

その結果、ほとんどの入居者の方はストレス度が下がったそうです。しかも初めは犬が嫌いと言っていても、その後撫でた人や、ほとんど感情が出ない重度の方たちも一様に下がっていたとのこと。
これには驚きました。

私たち犬の方も面白い結果がでました。
一人、活動を始めてから日が浅いハンドラーは失敗が気になり跳ね上がっていましたが、そのパートナー犬だけ同じように上がっていました。
ほかのハンドラーとパートナー犬は、同じような下がり方を示していました。そしてハンドラーが変わらないと、パートナー犬も同じ数字なのです。
飼い主の心を愛犬がくみ取って同調している様子がまざまざとうかがえて驚きました。
飼い主の心と愛犬の心は、まさしくリンクしていました。

そして、もし犬たちが我慢していて実はストレスが高かったらどうしようと気になっていた部分は杞憂に終わってほっとしました。
数か所で調べたところ、どこの活動でもほとんどの犬のストレスは下がり、私たちとともに活動を楽しんでいたことがわかったのです。

*****

以上の活動報告2題について、5月24日(火)、J-HANBSの事務局があるダクタリ動物病院東京医療センターへ千葉徳洲苑の近藤看護師長とわたくし切替の2人で伺い、加藤元理事長にお会いして2時間ほどお話しさせていただきました。

ダクタリ動物病院東京医療センターにて
ダクタリ動物病院東京医療センターにて加藤元理事長と

加藤元理事長のプロフィールはコチラ

犬のことは、トレーニングにしても、日常の生活の範囲内であっても、どこまでやってもこれで終わりという事はなく、奥が深いです。
いつまでも新鮮な驚きがあり、分かり合えた瞬間の喜びがあります。

活動を通して、こんな風に犬と暮らすことができて、本当に幸せだと思います。
この地球上どの国でも、いつでも愛犬との生活を楽しめるよう、平和であり続けるように、わたくし達大人が守っていきましょう。

記:切替 輝美(アニマル&セラピー・グレース代表)

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